新郎新婦退場曲の選曲ポイント〜退場の雰囲気と長さ〜
本日は披露宴の退場曲の選曲について解説したいと思います。披露宴の締めの時間として、どのような曲を選曲すれば良いのか、参考曲も含めて紹介していきます。
目次
⒈退場シーンでつくりたい雰囲気をイメージする
新郎新婦退場のシーンに限らずですが、どのような曲を選んだら良いかを考える前に、そのシーンをどのような雰囲気にしたいのか、これがまず大事になってきます。
盛り上げたいのか、ノリノリに楽しくしたいのか、感動させたいのか、ロマンチックな演出にしたいのか、といった各シーンに対するイメージを、新郎新婦おふたりが、しっかり共通のイメージを抱いているかを確認した方が良いでしょう。
新郎新婦退場のシーンで言えば、披露宴も締めの時間に近づき、新婦の手紙朗読、花束贈呈や記念品贈呈、そして両家代表謝辞の後、司会のお披楽喜のアナウンスの後に、新郎新婦退場曲が流れるのが、基本的な進行の流れです。
手紙から両家代表謝辞までは、会場全体がしんみりした雰囲気になるので、退場曲を考える上で、
①それまでのしんみりした雰囲気を吹き飛ばずような明るくノリノリに、思わずゲストから手拍子がおきるような雰囲気にしたいか
②それまでのしんみりした雰囲気を、感動の余韻を感じながら、ゆっくりと歩くイメージで感動的な雰囲気にしたいか
の2つに大きく分けられると思います。
その他には、新郎謝辞の流れを汲んで、新郎の決意を表して男らしくかっこいい感じで退場する演出や、大人っぽい雰囲気で落ち着いて退場したいといったイメージもあるかもしれません。
こういった新郎新婦退場のシーンに対するイメージがはっきりしていると、自ずとそのイメージに合った曲の方向性が決まってきます。
2. 退場シーンにかかる時間を確認する
披露宴会場にもよりますが、新郎新婦退場のシーンは、曲を流せる時間という意味ではそんなに長くはありません。謝辞位置から退場口までの動線や時間は、事前にプランナーや音響担当者に確認しておくと良いでしょう。
披露宴会場によって違うので一概には言えませんが、数十秒から1分前後くらいしか退場曲が流れない場合が多いです。使いたい曲のサビが1分よりも後に来る場合は、サビが流れる前に扉が閉まって退場になってしまう可能性があることも念頭に置く必要があります。
また、披露宴の進行によりますがご両親と一緒に退場する6名退場とご両親は会場に残って新郎新婦のおふたりで退場する2名退場かによっても退場曲がかかる時間というのは少し変わってきます。
2名退場の場合は、退場後にエンドロールを上映する場合が多く、ご両親は会場に残ってエンドロールをご覧いただくため、ご一礼後にご両親をお席まで案内する時間があります。時間にして十数秒ですがその分長く退場曲をかけることができます。
もちろん、2名退場ならこの秒数まで、6名退場ならこの秒数まで曲をかけることができるというのは当日の流れにより一概には言えませんので、あくまで気持ち長めにかけることができる程度に思っているのが良いでしょう。
曲の頭(イントロなど)から流すのが良いか、あるいはサビから流すのが良いかというのはその曲によるのと好みにもよるところがありますが、サビから流した方が良い曲をいくつか挙げてみます。
サビから流した方が良い曲
Wherever you are / ONE OK ROCK
曲頭がしっとりと始まるのと1番のサビも静かなので、オススメは曲のギアがいっきに上がる2分9秒の2番のサビからが断然おすすめです。その後も盛り下がることがないので、クールにそして感動的な退場シーンにピッタリです。
2番サビ後もCメロ(ブリッジ)やギターソロー、そしてサビと続くので、そのまま盛り上がりの中で退場できるのでおすすめです。
幸せをフォーエバー / MISIA
この曲はイントロの雰囲気や、AメロやBメロの歌詞が良いのと、曲頭から流してもサビが58秒と比較的早いので、曲頭から流すのも良いですが、より明るく、盛り上がりの中で退場したいのであれば、サビから流すのもおすすめです。
1番のサビから流した場合ですが、会場によっては新郎新婦のおふたりが謝辞位置から移動して退場口付近にいるところで、2番のAメロの少し静かで落ち着いている箇所が流れる可能性があり、せっかく盛り上がってスタートしたのに、盛り下がって退場口を通らなくていけない可能性があります。
曲によっては2番のAメロが1番より静かで落ち着く場合と、1番のサビの勢いやノリを維持して2番にいく場合があるので、サビから流す場合は、曲始まりのサビの部分だけではなく、その後の曲の展開も考慮した方が良いでしょう。
では、MISIAの「幸せをフォーエバー」をサビから流す場合ですが、私のおすすめは2分20秒の2番のサビが始まるタイミングです。サビ後のCメロ(ブリッジ)とその後もサビが続くので、盛り下がることなくそのままのテンションを維持してくれます。
僕のこと / Mrs. GREEN APPLE
Mrs. GREEN APPLEの「僕のこと」はいきなりAメロから始まる曲ですが、この曲は盛り上がる部分が2箇所ある曲なので、その部分をうまく使うと良いでしょう。
1箇所目は48秒の「ああ なんて素敵な日だ」の歌詞から。そして2箇所目が1分13秒の「僕らは知っている」の歌詞から始まる箇所です。曲の解釈にもよりますが、この曲はサビが2箇所ある曲なので1つ目のサビの48秒からかけることで盛り上がりの中で退場することができます。
なお、サビを含めた曲の途中から流す場合の注意点ですが、その曲の残りのタイム(尺)に気をつける必要があります。特に大サビと言われるような最後の方のサビを流したい場合、残りの時間が足りなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。
また、結婚式の参列経験が少ない方の場合、いきなりサビからかけることに違和感や抵抗を持たれる場合もあるかと思いますが、退場シーンで曲のサビからかけることはよくあることなので、そこまで気にしなくても大丈夫です。もちろん曲によってはサビからかけるよりも曲頭からかける方が自然な曲もありますので、悩んだら音響担当者に相談するのが良いでしょう。
逆にあまりおすすめしないのは、いきなりサビからかけるのに違和感があるため、Bメロなど曲の途中からフェードインでかけたいというご要望もたまに聞きますが、曲にもよるので一概には言えませんが、披露宴の締めのシーンとしては締まりがなくなってしまうので、できれば控えた方が良いでしょう。
全てのシーンに言えることですが、曲の尺に関しては、ある程度余裕を持って選曲やタイミングを考えた方が良いでしょう。シーンによってはリピートしてもそこまで目立たないこともありますが、さすがに入場曲や退場曲で、曲が足りなくなってリピートというのはあまり良くはありません。
そのシーンでかかる所要時間の目安よりもある程度余裕をもった選曲することで、万が一の場合に備えることができるので安心です。
3. エンドロールがある場合
新郎新婦退場の後にエンドロールを上映する場合ですが、新郎新婦退場曲を選曲する1つの基準として、エンドロールのBGMと退場曲を比べて考える方法があります。
例えば、エンドロールのBGMを菅田将暉の「虹」を選曲したとしましょう。この曲はゆったりとした感動的なバラードなので、その前に流れる退場曲は、エンドロールのBGMとのメリハリをつけて、明るく元気な曲を選曲するという考え方もあります。
明るく元気な曲の例ですが、例えばCarrie Underwoodの「Ever Ever After」も退場曲でよく使われる曲の1つです。エンドロールのBGMが男性ボーカルなので、退場曲は女性ボーカルにしているのもメリハリを作る1つの方法です。
あくまで選曲の考え方の1つですが、選曲に悩んだ際にムービーの音楽も含めた披露宴BGMのトータルバランスを客観的に考える意味でもおすすめの考え方です。
もちろん、退場曲とエンドロールの音楽がどちらもバラード、あるいはどちらも元気でノリが良い曲でも問題はないですし、先述した通り披露宴の締めの時間をどのような雰囲気にしたいかによって決めると良いでしょう。
4. 新郎新婦退場曲を最後に決めない
最後に、披露宴のBGMを考える上で、是非やった方がよい決め方があります。
それは進行順に曲を決めないことです。
迎賓、新郎新婦入場、乾杯、ケーキ、中座、、、、と順番通りに選曲を考えた場合、新郎新婦退場曲は自ずと最後の方になってきます。
2時間半の披露宴のBGMを考えるのは、進行にもよりますが、歓談BGMを含めない場合でも、十数曲〜20曲程度になるので選曲という作業はなかなか時間がかかるものです。
こうなると披露宴のクライマックスである新郎新婦退場の曲を決めるときには、心身ともに疲れた状態で決めなければいけない可能性があります。そうならない為にも、新郎新婦退場に限らずですが、まずは主要なシーンから選曲するのがおすすめです。
5. おすすめの新郎新婦退場曲が見つかる楽曲データベース
以上が、新郎新婦退場曲の選曲ポイントです!
BGM選曲のための楽曲データベースに「新郎新婦退場」にオススメのBGMを掲載していますので、下記のURLから是非チェックしてみてください!(楽曲は随時追加予定)
新郎新婦退場シーン以外でも披露宴のシーンから、アーティスト名からも検索できるので、是非皆様のBGM選曲にご活用ください!
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実際の披露宴で使用された曲やあまり使われないけど凄く良い曲だからオススメしたい曲など、現役のウエディングサウンドコーディネーターがオススメのシーンとともに曲単位で紹介しています。
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投稿者プロフィール
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澤近 竜佑 / Ryosuke Sawachika
ウエディングサウンドコーディネーター / 音響オペレーター / ブライダル専門学校非常勤講師 / 作曲家
明治学院大学文学部芸術学科卒業(音楽学専攻)
音楽活動や作曲活動を経て、2015年より東京、横浜エリアを中心にホテル・ウエディングの音響担当として勤務。
2020年9月、一般社団法人ウエディングミュージックコンサルタンツ協会(wmca)主催
「ウエディングミュージックアドバイザー」の認定資格を取得。
ウエディングサウンドコーディネーターとして、これまで500組以上の披露宴のBGMをコーディネート。
2023年より、3-yui名義で結婚式のためのオリジナル著作権フリー楽曲販売サイト「3-yui sound」を運営。
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